ケルトふたたび

—新生アイルランドをめぐって—


2001年高知新聞連載、広くケルト文化を知る入門的著作。

本書は「アイルランド文化の諸相を、広汎多岐にわたる文献を披露して探求した」きわめて学術的な作品である。しかし、本来、高知新聞に連載されや長編エッセーという性格上、多くの読者に「肩のこらない読み物」として楽しんでもらうために、その学術性をなるべく読者に感じさせまいとする配慮が、前編を貫いている。

著者ならではの軽妙酒脱な筆致で、自分がともに歩んできた<昭和>という時代の空気や、自分自身の興味・関心が書き込まれていて、それがいつしかケルト・アイルランドと結びつく。その間、常に、ケルト・アイルランドという鏡に写して、日本文化・土佐文化の特質を浮き彫りにする。単にケルトを知るだけではなくて、日本を知る、読み手が自分を振り返る、という仕掛けが面白い。
余談あり、コラムありの<遊び心>に富んだ本になっている。

著者:澤村榮一

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定価:2484円(税込)   数量  

ケルトとは、5世紀ごろまでヨーロッパ一帯に広がっていた民族である。1990年代、EU (ヨーロッパ連合)創設の動きもあって、西洋の歴史を見直す機運が生まれた。それは、〈原ヨーロッパ文化〉とも言うべきケルト文化の再評価につながった。ケルト文化の伝統を最も色濃く守り伝えてきたアイルランド、そのアイルランドを知るということは、西洋世界を知ることに通じることでもある。
そういう視点で書かれたこの本は、著者の豊富な知識の上に、膨大な文献にあたり、多くの人々からの情報や助言を得、著者にとって集大成的な意味を持っただけでなく、広くケルトを知る入門的著作になっている。

また、著者がともに歩んできた〈昭和〉という時代の空気や著者自身の興味・関心が書き込まれていて、単にケルトを知るだけでなく、日本を知る、読み手が自分を振り返る、という仕掛けが面白い。といって堅い本でなく、余談あり、コラムありの〈遊び心〉に富んだ本になっている。

画家で音楽家の北村剛さんによる、〈緑の島〉アイルランドを象徴するエメラルド・グリーンで描かれた、三つ葉のクローバーのようなシャムロック(国花)を配した本のカバーの絵をはじめ本文中のカラーの挿し絵は、まるでアイルランドを旅しているような気分にさせてくれる。


2001年に高知新聞に連載されたものに、加筆・修正したもの。なお著者は、高知県文化賞(05年)、高知ペンクラブ賞(07年)受賞者。