無能男


著者:佐川恭一

サイズ:A5判 154ページ

定価:1296円(税込)   数量  




第13回 もんもん文学賞大賞受賞作品

 

滋賀県の小さな町では神童と呼ばれ、京大生となった伊村翔太。コミュニケーションが苦手だったが、1回生の時、初めての恋に落ちる。ところが相手の水原綾香は、ひときわ気性の激しい女性だった。繰り返される理不尽な要求に、反論するも結局言いなり。逆に、「彼女にふさわしい男になろう」との一心で努力を重ねるのだが、とうとう限界に達し破局。

三回生となった伊村は心療内科にいた。そこで、SAD(社会不安障害)と診断される。今の状態をどう理解したらいいのか。その時、綾香の顔が浮かぶ。心の中にずっと生き続けていたのだ。薬の副作用で追い詰められた伊村は、救いを求めて無謀にも綾香に再度の接触を試みる。それほど生き辛さを抱え続けていた彼を救ったもの、それは医者の言葉でも薬でもなく、意外な彼女の一言だった……。

何もかもが裏目に出てしまう無能に見えた男の弱さから、純粋に走り切る強さを感じるのはどうしてだろうか。